若旦那の夢【参代目の挑戦】


気付けば5年が経過していた。
自分がこの亀山温泉ホテルに戻ってきたときに想像していた
5年後とはかけ離れていた。
最初の自信も相当無くしていたのも事実、
嫌だなぁって思うことはたくさんあった。

それでも一つの事実は、減少傾向にある旅館業界、
多くの有名旅館が潰れ、事業再生に追われ、
外的要因も重なり、淘汰されている。


その中で亀山温泉ホテルは 潰れることなく、営業を続けている。
昭和25年祖父五兵衛が宿屋のオヤジになった亀山鉱泉から、亀山ダム建設に伴い、場所を移転して亀山温泉ホテルとして法人登記した昭和50年、父である現社長につながり、今がある。






父と母はもちろん尊敬しているし、二人がいたからこの亀山温泉ホテルは存続している
そしてこれから先も二人の力なしでは、まだまだ勉強不足、甘えがある自分には何もできない。

でも
絶対このままじゃいけない
絶っ対にこのままじゃいけないんだ


このままじゃ、何のための自分の存在かわからない
思ってみても自分の出来ることって限られている
お金だって借りられない

立場だって社長女将より弱い
でも俺がやんなきゃいけないんだ
それだけの可能性があるのだから、引き出して形にして、お客様に認めて頂く!!
ちょっと思ったより全然長い時間がかかりそうだけど、絶対になんとかする。


口先だけだったその思いが、一つのきっかけによって形になった。
それが2013年10月から半年にわたり参加した次世代旅館経営者育成セミナー だった。


観光庁とリクルートが手を組み、次世代につながる地域イノベーターを育てようと企画されたもので、全国から16人の仲間が共に切磋琢磨して、自分を見つめなおし、旅館を見つめなおし、地域を考え、これからの未来を見据え、描き、行動に移していった。

僕は自分がどんな人間でありたいのか、どう生きていきたいのか、自分はどんな存在なのか




このセミナーを通じて深く深く内観をした。そして一つの答えが生まれた。
「僕は太陽になりたい」と。
熱く熱く自ら燃える太陽じゃなくて、自らの熱さ光を届けることで、周りを照らし続けたい。
それから亀山温泉ホテルのこと地域のことを考えて導き出された答えは
自分ひとりでやるんじゃない、僕はみんなと一緒に心をひとつにして目指していきたいんだ
亀山温泉ホテルが日本一の旅館であると、みんなが本気で信じて疑わないこと
それが僕の目指している夢のコアなんだと気づきました。

それからでした、色々なものが少しずつ少しずつ変わっていくのを感じました。


社長女将と正面をむかって、長い時間をかけて話し合いをもち、銀行に話を聞きに行き、税理士の先生とも話を持ちました。苦手で逃げていた数字とも向き合いました。


お客様の声に上がるひとつひとつを共に解決すべく、ミーティングを重ね、スタッフ一人一人に手紙を書き、想いを伝えていきまました。


売上も評価も上がっていきました。
一時期は口コミ評価2.9であったのが、4.0まで上がることが出来ました。
売上は対前年110%を推移しています。

周りのせいにしていたのは、曇った自分自身のフィルターを通していたから。
自分が変われば、おのずと答えが出ていきました。
自分が自分がと間違っていた過去の自分
みんなで心ひとつにやっていきたいと思う今の自分
心の葛藤と苦しみがすっと楽になったのを覚えております。



自分があれだけ出張に出かけ、セミナーに出かけ、外に出ていけるのは、そこで一生懸命になって働いてくれるスタッフがいてくれるからであり、社長女将がいてくれるから。
そんな当たり前のことをきちんと心開いてみていなかった自分

おのずと感謝の気持ちが湧いてきました。
名前を読んで元気挨拶を心がけるようにしました。
手紙を書くようにしました。
先に上がるときは、みんなのところに行って、しっかりお辞儀をしてお先に失礼しますというようにしました。



仕事楽しいですか? に 笑顔で楽しいです、働かせてくれてありがとうと笑顔で返してくれます。
支配人と一緒に日本一の旅館つくるから、まだまだ頑張らなくっちゃって声をかけてくれました。
若旦那の為に頑張りたいんですって思ってくれているんです。


自分はまだ会社のリーダーではありません。
それでも次世代リーダーとして舵とりを任されるまで甘えてはいられません。

自分の思い描く未来を、今ここにいるみんなで心ひとつにしてかなえていきたいんです。

自分を太陽であると思い込み、笑顔と元気と情熱を常に心に持ち合わせ、
みんなに届け、灯し、引き出していきたい。

今ある良さを見つめ、感謝の気持ちをしっかり持って、伝えることを忘れない。

現状を否定することなく、より良い環境に改善するためにみんなで努力をしていく。


私の夢


  • 温泉と自然環境を守り、観光資源として活かすことで、地元を必ず千葉県一の観光地にする。地元を元気と笑顔いっぱいに、雇用創出、人口増加。今は1クラス10人未満の子供達を30人以上にに増やし、子供たちが本気で夢を語り、志を持って育っていく環境を創りあげる事
  • 若者がどんどん独立創業をこの亀山の地で出来るように支援をする
  • 亀山の子供たちが夢をもち、志あふれる、可能性の広げるために、支援をすること
  • 亀山温泉の良さをどんどん広めるために、温泉配達、日帰り温泉施設を成功させる
  • 里山資本主義に基づき、地域循環型の社会をつくりあげる事
  • 休耕田や空家を活用し、農業ブランドの立ち上げを行い、雇用を増やし、農業男子農業女子を増やす
  • 観光協会がとにかく熱く盛り上がり、地域を引っ張っていく。
  • 多くの業種エリアを超えてコラボレーションが生まれに生まれ、地域活性化に結びついていく
  • 亀山温泉ホテルがもっともっとお客様に喜んで頂ける、選んで頂ける、愛され続ける施設になりつづける。必要最低限な改装は繰り返し、資産価値を向上させ続ける

最終的には僕の愛する息子たち、4代目チビ旦那と4.5代目ショウ旦那が「俺たちがオヤジ楽にしてやるから安心して引退しな。早く継がせてくれ。やってみたいんだ」と言ってくれることかな。(笑)

自分ももう次世代への橋渡しである自覚を忘れない。

私はもっともっといろいろな人に出会い、沢山の知識を吸収したい
もっともっと誰かのお役にたちたい

自分という存在をもっともっと多くの方に認めてもらいたい
アピールしたい


それが今の自分の想いです。

1998年に 実家を飛び出し 東京へ行きました
10年後
2008年に 実家に戻って亀山温泉ホテルへ入りました。
2013年に 次世代旅館経営者育成セミナーで一つトンネルを抜け、未来に向かいました。

気付きませんか、僕の5年周期

そう5年後(もう3年後ですが)


2018年 僕は会社を継ぎます(と自分では心に決めております)
その時に、夢であった露天風呂を完成させ、完成披露と共に 事業継承します!!


みんなでこころひとつにして


長々と最後までお読み頂きました事、心より御礼申し上げます。