若旦那の夢【参代目の挑戦】


最近、こんなことを考えました。

「情熱って、どうやったらなくならないんだろう?」

多くの人はこう言います。

もっと頑張ろう。
もっと気合いを入れよう。
もっと自分を奮い立たせよう。

でも本当にそうなのか。

僕は、少し違う答えにたどり着きました。

情熱は、出すものではない。
もともと自分の中にあるものなんじゃないか、と。


情熱がなくなるのではない

情熱がなくなったと感じることがあります。

やる気が出ない。
ワクワクしない。
前みたいに燃えない。

でも本当に「なくなった」のでしょうか。

もしかしたら、

情熱がなくなったのではなくて、
情熱と“つながっていない”だけかもしれません。

スマホとWi-Fiみたいなものです。

電波は飛んでいる。
でも接続が切れていると、何もできない。

情熱も同じ。

自分の中にはある。
でも、つながれていないと感じられない。

証明と創造

ここで大事な話があります。

人はよく「証明」しようとします。

・自分はできると証明したい
・成功して見返したい
・結果で示したい

これは悪いことではありません。
実際、僕もずっとそうやってきました。

でも証明は、
「まだ足りない」というところから始まります。

だから、どこかに緊張があります。
どこかに敵がいます。

一方で、「創造」は違います。

創造は、

・まだないものを作る
・もっと面白くしてみる
・やってみたいからやる

ここには敵がいません。

あるのは、未来とワクワクだけです。

証明の時間と創造の時間

証明は、

「いつ達成するか」

が大事になります。

締切。
目標。
数字。

だから時間がギュッと縮みます。

一方で創造は、

「どんな未来を増やすか」

が大事になります。

だから時間が広がります。

やっていると、

「あれ、もうこんな時間?」

となるのが創造です。



じゃあ、どっちが正しいのか?


どちらも必要です。

創造だけでは、現実になりません。
証明だけでは、疲れてしまいます。

だから大事なのは、

創造を主役にして、
証明をサポートにすること。

未来を作るために動く。
その結果として、証明される。

この順番が大事だと、僕は思っています。

情熱は足さなくていい

情熱が足りないとき、

新しい刺激を探したくなります。

でも本当は、

足りないのではなく、
つながっていないだけかもしれない。

自分は何が好きなのか。
何を面白いと思うのか。
どんな未来を作りたいのか。

そこに戻ると、
情熱は自然と流れ始めます。

情熱は、出すものじゃない。
守るもの。

なくなるものじゃない。
つなぐもの。

今日も、未来を証明するために生きるのではなく、
未来を創造するために動いていきます。



久留里線が、卒業する。だから僕は、終点で待つ。

久留里線(上総亀山駅ー久留里駅間)の廃線が決まった。
ニュースを見た瞬間、胸がぎゅっとなった。

理由や数字の話も、もちろん分かる。
時代が変わった。車社会が進んだ。利用者が減った。
「合理性」という言葉で片付ければ、たぶんそれで終わる。

でも、終点のそばで宿を営む人間として。
そして奥房総で観光という仕事をしている当事者として。
この区間が持っていたものを、ただ“惜しい”で終わらせたくないと思った。

僕は、あきらめない。だけど、戦い方を変える。

正直に言います。
僕は線路を魔法みたいに復活させる力は持っていない。
政策を動かす大きな権限もない。
だけど、僕にはできることがある。

「人が来る理由」をつくること。
「ここに来て良かった」という体験を増やすこと。
「最後の一年を、記憶に残る一年に変えること」。


廃線は悲しい。
でも僕は、ここにひとつ言葉を置きたい。

廃線ではなく、卒業だ。

終わりが決まってしまったなら、
その最後の時間を、最高の形で送り出したい。
「さよなら」ではなく「ありがとう」で締めたい。

あと一年。幻になる前に、見てほしい景色がある。

上総亀山から久留里へ。
この区間は、派手ではない。
都会の観光地みたいに、キラキラした看板が並んでいるわけでもない。

だけど、だからこそいい。

窓の外に流れる、奥房総の緑。
線路の先にある、静かな終点。
人が少ないからこそ聞こえる、風の音。
そして、誰かの人生の一部として確かに走ってきた時間。

こういうものは、一度失うと戻らない。
「いつか行こう」は、だいたい来ない。
そして気づいた時には、“幻”になっている。

だから今、声を大にして言いたい。

この一年で、乗ってほしい。来てほしい。感じてほしい。

亀山温泉ホテル代表として、責任を持って動くと決めた

僕は創業75年の老舗旅館の三代目だ。
上総亀山駅のすぐそばで、温泉宿を続けてきた。

この地域で観光をやっている以上、
地域の変化を「外側」から眺めて評論するだけでは、責任が足りない。

だから決めた。

この一年、久留里線(上総亀山〜久留里)の付加価値を上げる。
多くの人に知ってもらい、来てもらい、最後の盛り上げをつくる。

僕一人の力は小さい。
でも、小さい力でも本気で束ねれば、波になる。

一緒に、最後の一年をつくりたい

ここからは、お願いだ。

この区間に思い出がある人。
学生時代に乗った人。
鉄道が好きな人。
旅が好きな人。
奥房総を応援したい人。
何か一緒に仕掛けたい人。

あなたのアイデアを貸してほしい。

「こんな企画あったら行きたい」
「こんな撮り方がある」
「こんな散策ルートがいい」
「地元の宝物、ここも見てほしい」
なんでもいい。あなたの視点がほしい。

僕は、終点のそばで宿をやっている。
だからこそ、来てくれた人に“最後の一夜”をちゃんと預かれる。

最後に。終点のそばで、待っています。

久留里線が卒業する。
その事実は変えられないかもしれない。
でも、最後の一年をどう過ごすかは、僕たちが決められる。

「惜しかったね」で終わらせない。
「行ってよかった」で締める。

そのために、僕は動く。
この一年の動きは、全部発信します。

よかったら、力を貸してください。
そして、乗りに来てください。

終点のそばで、待っています。
亀山温泉ホテル代表 鴇田英将