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過日 旬刊旅行新聞の特集 女将のこえ228番目の紹介で
ジャーナリスト瀬戸川礼子さんに 当館の女将レイコが取材を受けました。

以下其の原文でございます
引用元(http://www.ryoko-net.co.jp/?p=67341)


□代替わり2年目の想い
 記憶に新しい、9月と10月に発生した大型台風は、千葉中央部に位置する温暖な君津市も通過した。亀山温泉ホテルは停電や断水、雨漏りなどの被害に遭い、一時的に閉じていたが、現在は元気に営業を再開している。

 洪水を阻止したのは亀山ダムだ。同館の創業者で旭日双光章受章の鴇田五兵衛氏が建設に尽力した。

 亀山温泉ホテルの看板であるチョコレート色の自家源泉は、ダム建設で高台移転したあとに再採掘した同館の宝だ。取材後、とろとろの珈琲に浸かっているかのような黒湯を楽しませてもらった。

 女将の玲子さんは群馬の出身。歴史に興味があり、京都の大学に入った時点で、今に続く女将への道が静かに始まっていた。

 「私は人と関わるのが苦手で、このままではよくないと思い、東山で仲居のアルバイトを始めたんです。すると性に合い、群馬に帰ってから『福一』さんに新卒採用してもらいました」。
 ここで、亀山温泉ホテルの3代目で、修業に来ていた英将さんと出会う。「最初は軽い人だなと思いましたが(笑)、『本気だから』と言ってくれて。一緒に働くうちに、頼りになる人間性に触れ、この人と人生を歩みたいと思いました」。



 2人で亀山温泉に戻り、約10年が経った昨夏、代替わりをした。英将さんが2代目の父に直談判したのだ。

 最初の改革は事務所の工事である。社長室を潰して開放的な空間にしたことで、場も人も明るくなった。表をよくするのは裏方だから、賢明な改善の一手だと思う。また、フロントと経理を柱に3人の正社員を採用し、今春からは30代の新調理長を直接採用。食材にこだわった料理でもてなしたいと、話し合いにも熱が入る。「料理長は、いずれは狩猟免許を取ってジビエも出したいと言っていて、将来が楽しみです」と玲子さん。とはいえ、「あまり急に変えるとスタッフがびっくりしますから、徐々にですね」と、働く人への気配りも欠かさない。

 責任を取る側になった今、外の仕事が多い英将さんと連携しやすいよう、アプリで互いのスケジュールを共有するようにしたそうだ。「私は旅館がうまく回るよう努めたい」。

 前に2つの旅館で働いた経験から、スタッフの目線を理解している玲子さん。前述の台風被害では、顧客の優しさに救われ、スタッフの努力に助けられた。双方の幸せのためにも、「スタッフにとって開けた経営をしたい」とする。「楽しそうに働いている姿が一番うれしく、一番大切なことですから」。

(ジャーナリスト 瀬戸川 礼子)

▽住所:千葉県君津市豊田旧菅間田65▽電話:0439-39-2121▽客室数:14室、1人利用(日により)可▽創業:1950年▽料金:1泊2食付き11,000円?(税別)▽泉質:ナトリウム―塩化物・炭酸水素塩泉▽自家源泉100%掛け流し。地下深く堆積した植物を微生物が分解した腐植質によりチョコレート色の湯に。新年、貸し切り風呂が完成。


コラムニスト紹介

ジャーナリスト 瀬戸川 礼子 氏
ジャーナリスト・中小企業診断士。多様な業種の取材を通じ、「幸せのコツ」は同じと確信。働きがい、リーダーシップ、感動経営を軸に取材、講演、コンサルを行なう。著書『女将さんのこころ』、『いい会社のよきリーダーが大切にしている7つのこと」等。